電気工事の人 「ペンチで語る業界未来会議」(後編)フジ矢株式会社さま
みなさんこんにちは、Ampを主宰する藤田勝彦です。
すばらしい電気工事業界の魅力を世の中につたえるのが仕事です。
兵庫県で電気工事会社を経営しています。
今回はみなさんのペンチサックに一度は差し込んだことがある、ペンチ、ニッパーのメーカー「フジ矢株式会社さま」にお越し頂いて業界のこれからについて色々お話させて頂きました。 工具をつくる人、工事をする人、共に業界のためにできること色々ありそうです。
「ペンチで語る業界未来会議」の後編です。 ここからは、フジ矢さんの会社の業界に対する考え方やこれからのことなど、まさに「未来会議」な内容です。
●写真奥から フジ矢株式会社[文面赤文字]
マーケティング本部 本部長 森田さん
営業本部 ビクター事業部 部長 岡村さん
営業本部 フジ矢事業部 次長 大西さん(元バリバリの刃つけ職人)
フジタ: 今回フジ矢さんにお越し頂きたかったのは、まさに私の中では「ペンチ」が電気工事のメインアイコンだという思いがあり、それを作っておられる会社がどのようにこれからの電気工事業界を見つめておられるのか、色々お聞きできれば、業界のみなさんにとっても大変参考になるのでは、という思いからです。
モリタ: 工具を作る側の私たちにとっても、工事側の方と色々お話ができる機会があるのは大変ありがたいです。
ペンチで電気工事業界の課題解決に向き合う
フジタ: 貴社としては、これから電気工事業界どうなっていくとお考えですか?
モリタ: 予測データでも出ていますように電気工事業界は「人手不足」は避けられない状況です。 当社としては、電気工事業界の就業人口が増えてくれることが、当社のマーケットを広くすることだと考え10年前から色々と取り組んできました。
そのテーマは「カッコいい」でして、ペンチなどの工具からそれを作ろうと。
そのルーツとなる出来事があって、私が会社に入って間もないころ、代理店さんの展示会で出展スタッフとしてお客様の対応をしていた際、若い職人さんから、「フジ矢はダサい」「クライン(米国)はあんまり切れないけど、それでもこっち使うわ」と言われ、その時大変悔しい思いをしました。 製品性能として優れているのに選ばれないのかと。。。
フジタ: 確かにクラインさんのロゴマークなんかカッコいいのはわかります。
モリタ: そのときの思いがずっとあって、アイディアを出したり会社全体で取り組んで来ました。 最終的には現社長のアイディアがもととなってデザイン的にも性能面もカッコいい商品をつくり出すことができました。
それがKUROKINシリーズでボディ全体が黒く、ロゴ部分が金色で、デザインも性能もこだわった商品で、すごく売れています。
KUROKINシリーズ
KUROKIN SERIES | 製品情報 | フジ矢 (fujiya-kk.com)
製品紹介動画↓↓
KUROKIN 2019【JAPAN DIY HOMECENTER SHOW 2019】 – YouTube
黒は「強くてカッコいいです」、現場に出ない私も欲しいです。是非両方ごらんくださいね。
電気工事業界に職人さんを一人でも増やしたい
フジタ:KUROKINシリーズカッコいいですよねえ。日本の老舗ブランド×工具×黒×金 という組み合わせがカッコいいしかないです。
工具をつくる会社が、業界の課題解決を見据えて商品づくりをされているというのが、マーケティング視点として大変面白いのと、なによりも頭が下がる思いです。 私たち電気工事業界は関わる皆さんの思いで支えられているのだと改めて感謝の思いです。
人手不足、若年層が電気工事業界に入らない問題は、業界として突破したい一番の課題ですので、それに対して自身のビジネスを通じて向き合って頂いているのが、さすがリーディングカンパニーだなぁ~と。
モリタ: とにかく世の中の人が電気工事職人になる「ハードルを少しでも下げる」という思いです。
フジタ: いや~本当に素晴らしいです。
モリタ:当社フジ矢は現社長の思いもあって、大変チャレンジングな会社で、商品のマイナーチェンジを始め、とにかく「やらせてくれる」社長なんです。
フジタ:それは素晴らしいですね! 変化を恐れて弱体化していく老舗企業とは、全く逆ですね!
ペンチから始まるかもしれない電気工事業界のダイバシティ化
フジタ: これから、女性や外国人といった様々な人が電気工事業界で活躍頂きたいと考えておりますが、工具をつくる貴社として何か思うところはありますか?
オオニシ: 工具は今まで男性が使うことを前提につくられてきましたが、これからは私どもも様々な皆様が使うことを前提に製品開発しなければと思っています。 例えば、強い力一回で切断できるものを、弱い力三回で楽に切断するといった発想で工具を考えていきたいと思います。
フジタ: ダイバシティ化という意味では、女性に限らず、力の弱い男性という設定も当然できますし、女性用というものではなく、持っている力に合わせて選択できるようになればいいなぁと思います。 電気工事業界のアイコンである「ペンチ」がそうなれば、なんか、業界のダイバシティ化の象徴になりそうな。。。勝手に背負わせてスミマセン(笑)
オオニシ: ペンチは職人さんの腰道具に吊ってある一番重い工具とも言えますし、高齢になってもまだまだ活躍いただけるようにという思いで、工具で疲れないようにといった視点で軽量化した商品が当社でもあります。
フジタ:(実際に持たせて頂きました)すごーい軽いです! 全然違うんですね!
オオニシ: まだまだこれから進化できるように頑張っていきます。
3000N-200 | ペンチ | 製品情報 | フジ矢 (fujiya-kk.com)
強度は維持しながら、先端部を細くすることで、1サイズ小さいモデルと同じ重さを実現した商品
もうすでに高齢になっても活躍できる素晴らしい業界
フジタ: 業界では高齢化を否定的に捉えられていますが、電気工事業界は年齢が高くても活躍できる素晴らしい業界であり、今の若い人にとっても長く一線で活躍できることが証明されているようなものなので、私は高齢の職人さんやその他の従事者がもっと業界の成長において、意味のある存在になるような仕組み作りもAmpのミッションと考えております。
Ampの設立社員2人のうち一人が私が親しくする、佐賀県にある空調・電気設備会社の会長で川副さんといって78歳の方なんですよ。
モリタ: 私たちのペンチを長年愛用頂いている方で同じくらいの年齢でまだまだ現役で現場されている方いらっしゃいます。
フジタ: そこにちゃんと責任と意味のある「全世代活躍業界」をつくりたいという私の思いをくみ取って頂いてお受け頂きました。 色々と昔のお話などお聞きしながら、これから私たち世代が何を残していかなければならないか相談させて頂いています。 お互いでそういった部分でも業界の魅力として世の中にプレゼンできるといいですね。
ところで貴社のこれからは何かお考えのところありますか?
工具も工事もグローバルで戦えるブランドへ
モリタ:私個人としては、ペンチニッパー市場を世界市場と見たとき、ドイツ「クニペックス」、アメリカ「クライン」に負けないブランドとして成長したいと考えております。 製品個々性能としてはどこにも負けていないのですが、販売力・生産力ともにこれからまだまだ高めていかないといけないと思っています。
フジタ:すごく夢ありますね。フジ矢さんのブランドが世界のツール市場で認められれば、日本の「電気工事」そのもの自体のブランディングになりそうにも思います。 私はこれから「日本の電気工事業界」は世界で売れるものになると信じています。 日本のゼネコンの海外物件の下請けでついていって、電気工事をする行為をさすのではなくて、今まで丁寧に安全に電路を作ってきた私たち日本の電気工事は技術だけでなく、それを支える材料や工具、安全に対する考え方などに価値があるという考えです。 さらに言うと、近い将来、それをアジアの人たちに教えたりするようなコンテンツビジネスをしたいと考えております。
モリタ:それもすごく夢がありますね。 共に世界を視野に頑張りたいですね。
Ampさんとやってみたいプロジェクトがあります!
モリタ: 実はAmpさんと組んでやってみたいことがありまして、スノーボードの選手って、ウェアにスポンサー提供ギアのロゴマークなどつけているじゃないですか。 あんな感じで、電気工事の職人さんにもメーカーがギア(工具など)をサポートし、作業服にロゴマークを付けて頂くようなことできたらなぁと考えています。
フジタ: めちゃくちゃワクワクしますね! 例えば、電気工事業界で有名な職人さん知ってます?と聞かれても答えられませんものね。 そういうタレント的な憧れの職人さんがいれば従事者やこれから従事されようとしている方々にとっても「あの人のようになりたい」という憧れの職人さんの存在をつくるってことですね! それ、Ampが事務局でやります!
モリタ: メーカーとしても工具を提供するかわりに、使い心地などフィードバックしてもらうとかお願いしたいなと思います。
フジタ: Ampで「スポンサードプロ電気工事士(今考えました)」のみなさんを発信させてもらったり、当然御社のWEBサイトでも発信されたりして「発信」をセットにしておかないと、プロスポーツ選手と違ってTVでの露出があるというわけではないので。
モリタ: 当社だけじゃなくて、電気工事業界に関わる企業が一人の職人さんに複数スポンサーしてもいいと思います。
フジタ: そういう文化を作りたいということですね。 スポンサーを獲得している職人さんは、本人も自慢できるし、その職人さんを雇用している会社は価値を高められるし、みんなにとってハッピーですね!
Ampで候補者のピックアップや基準づくりなど対応させて頂きます。 Ampで行えば様々なメーカースポンサーとの仲介も可能ですし、文化づくりの部分は「電気工事業界特化型メディア」として頑張らせて頂きます。
★ この後具体的に色々お話が進みまして、ここではまだ発表できませんが、Ampで一旦企画資料作成させて頂き、正式なプロジェクトにできるように準備がはじまりました。
あまりにも実現可能&ワクワクすぎてAmpとしても真剣に取り組みさせて頂こうと考えているお話なので、正式に決定しましたら、この場で発表させて頂きます。
フジ矢株式会社のみなさま本当にありがとうございました。
電気工事業界がここまで歩んでこれたのも、私たちが関わる様々な分野の方々の支えがあったからなんだなあと思いました。
工事の人たち含め業界に関わる全ての人がそれぞれがお客様に良いものを届けようと日夜工夫と努力をしてきた結果、社会に必要とされる素晴らしい業界となりましたが、世の中はどんどん変化し、これからも休む時間は与えてくれなさそうですね。
関わる人全員で知恵を出し合い業界の魅力を引き出したり、作ったりこれからも頑張っていきたいです。
次回は工場訪問してください!を頂きましたので、Ampで取材も行かせて頂きます。
今回この対談を快く受け入れて頂いたフジ矢株式会社さまに心から敬意と感謝を表します。
本当にありがとうございました!
【前編はこちらでご覧いただけます】
電気工事の人 「ペンチで語る業界未来会議」(前編)フジ矢株式会社さま | 電気工事業界特化型メディア「Amp」 (amp-el.jp)