電気工事業界を想う二人の話
今回の対談は初の電気工事業界で働く女性同士の対談です。お互い違った立場で電気工事業界に関わるお二人ですが、二人から見た電気工事業界の魅力、課題、それとどのように関わっていくのかなど多岐にわたるお話となりました。
プロフィール
西村美音(にしむらみお)さん (写真右)
因幡電機産業株式会社(電設資材商社)
システム第二統括部 営業開発部 防災製品グループ
電設資材商社でありながら自社ブランド商品を様々販売、メーカーの立場として西村さんは防災製品グループで、耐火パテ、耐火遮音スイッチボックスカバーなどの営業活動をされています。 入社後は業務チームを経て、営業チームに異動6ヶ月目、今まで触れる機会がなかった電気工事会社のスタッフ、現場で日夜戦っている職人さんに製品をPRする日々、まさに現場を歩いて活動しておられます。
インタビュー記事:https://amp-el.jp/column/2019/
田淵彩夏(たぶちあやか)さん (写真左)
FEWS ENERGY / フューズエナジー株式会社 (fews-energy.com)
Amp 運営事務局員(一般社団法人イーエンジニアジャパン)
フューズエナジー株式会社(オウンドメディア制作運営・サステナコンサルティング事業)
電気工事業界特化型メディアAmpの運営スタッフとして、Ampウェブメディア、SNSの運営、コンテンツの制作などを担当、電気工事会社のみなさんの「カッコいい」をいかに多くの方に発信するかを考えて活動されています。 また、フューズエナジー株式会社では、業界問わず中小企業向けコーポレートサイトの制作+会社のビジョン再設定、オウンドメディアの運営などを組み合わせた新しいサービス運営に取り組まれています。
どうしていつも人が足りていないんだろう。
田淵さん : そもそも西村さんが、この電気工事業界の中に入職したきっかけはなんですか?
西村さん : この業界に入りたくてとか、絶対この会社に入りたいということではなくて、学生時代のアルバイトでもファッション関連のおしごとをさせて頂いたりしたことで、繊維商社なども受けていました。
そんな中、何社か内定を頂いていたところはありましたが、実際、会社の規模、福利厚生だとかで決めました。
田淵さん : この業界の商社としては最大規模ですものね
西村さん : 将来のために考えられるところがその時点ではそれでした。 当社も電設関連といっても、多岐にわたる分野があって、これがやりたいという明確なことは、入社前の時点では、ありませんでした。
田淵さん : 西村さんは2022年に業務部から営業部署に移られて、電気工事屋さんと直接コミュニケーションとることが増えたと思いますが、いかがですか?
西村さん : 私が思う電気工事屋さんの印象は一言でいうと「忙しい」です。
営業先の電気工事店に訪問させて頂いても、本当に皆さん会社の中に人がいない。。だとか、おられたとしてもバタバタされている様子を見ることが本当に多いです。
それを見て、電気工事に従事する方が本当に足りないんだなぁと。
工程が短すぎるのかなぁとか、私にとってもアポが取れない状況で(笑)
人が足りないこと、業界のみなさんにとってすごく問題になってはいるのかなと思うんですけど、何でそうなるのかを私の立場なりにいつも考えています。
田淵さん : 私もこのAmpの活動などで様々な電気工事の方と関わりますが、とにかく若い人が現場にいないし、いてもすぐいなくなるというのが心配という声をたくさん聞いています。
西村さん : 私個人の考えは、電気工事って外の体力仕事なんで、きついとか朝が早いとか、若い人については、そこで皆さんやめちゃったりとかしてるのかなとか思ったり。。
電気工事の人が思う「すごい」は、私たちの「めっちゃスゴイ!」
田淵さん : 定着って意味で別の視点で私が思うところがあるんですが、この仕事についてから特に思ったんですけど、電気工事のみなさん本当にアピールするのがすごい苦手、シャイというか。
電気工事の技能の大会とかでも優勝したって、そういうことを会社やご自身のブランドに利用できていないと思います。
なんかもっとうまくアピールもっとすればいいのになってすごく思います。
私から見たら「すごーい」と思うことなのになぁと。
西村さん : サラリーマンの方ですと、オフィスや営業廻りで忙しく働かれているなって感じで、雰囲気が見えるところあるんですけど、実際工事の方とかって現場に入らないと作業しているところは見えないし、どんな様子でお仕事されているかわからなければ、就職する側の立場としても検討する候補に入れにくいし、やはり、はっきり様子が見えているお仕事をみなさん考えると思うんですね。
田淵さん : 例えば有給なんかあってないようなものなのかな?とか想像と偏見でしかみてもらえてないように思います。
私の会社のグループ会社が電気工事会社ですけど、皆さん有給取れる時は2 日ぐらい取って、平日でどっか行ってきますなんて感じでされていますし。 一般の方とっては全く想像とちがっていると思います。
西村さん : そういうことは実際に目にしないと分からないですね。
田淵さん : 勝手な想像だけで、電気工事会社=ブラック企業、 週6日の2 週間連続勤務とか。。でも本当は、もちろん休みもあって、休日が仕事だったら平日のお休みになって、体力の温存するための期間がちゃんとあって、自分の想像って本当に凝り固まったものだったなと思いました。
電気工事のみなさんは「優しい人多いです!」と伝えたい
西村さん : そういうことを、「アピールできる場所」をつくることができれば、人不足を解消する一助になると思います。 業界に入ってみようかなと思ってもらうこと、振り向いてもらうことが大切だと思います。
田淵さん : 少なからずそのアピールの部分で、私が力になれると思っています。
西村さん : 営業チームに配属されたときに、私が女性っていうのもあって、営業活動の中で電気工事やさんとのお話の中で、あの年配の方には気をつけてとか、 1人で訪問するときは気をつけてと、言われることがよくありました。
田淵さん : それはどう意味ですか?
西村さん : 急に来てだれや!と言われるとか。。。忙しいから帰って!と言われ、怒られるよという意味です。
でも実際何のアポイントなしに訪問させて頂いても、皆さんすごく紳士的で、話も聞いてくれるし、カタログ一つ一つの説明もちゃんと聞いてくださるし、実際行ったら全然違うなっていうのが実感です。
過去はそうだったかもしれませんが、今はほんとうにお会いできれば、すごく紳士的で、優しい方ばかりだと思います。
田淵さん : それは、私たちの好きなギャップですね!(笑)
西村さん : それこそ、お部屋にもちゃんと通してくださって、お茶まで出して頂くような応対して頂いた方が多かったんで、すごく良い意味のギャップがありましたね。 職人さんのイメージは、ドラマとかでもやはり、怖くて、とっつきにくい人という風に描かれていますものね。 本当は皆さん優しい方なのに、同世代の会社の人や友達とかは、ただただ、ドラマやCMで描かれている人達と想像していると思います。 もしその場に連れてったら多分怖いって思うかもですね。
私は知ってるんで全然そんなことないよって言えますが、そこを世の中の皆さんにわかってもらいたいですよね。
ドラマ「校閲ガール」放送翌年志望者増えてるはずです
田淵さん : 知ってもらうことって本当に大事だと思ってて、見たことあるかもですけど、「校閲ガール」石原さとみさん主演のドラマ、あれって、映像を見るまで、校閲という職業、職場なんか全くイメージなかったと思うんですけど、ドラマにしたことで、いろんな人が知ることになって、絶対翌年に志望者増えていると思うんですよ。
西村さん : 電気工事会社の中の色々なことを知ってもらっていたら、例えば、自分の性格にあっているかもとか思えれば、 1 つの選択に入っていくような気もしますね。
知らないことが多すぎて、現状なのかなって思ってしまいます。
田淵さん: そうですね。 自分の性格に合うかもっていうモノサシはいいですね。
給与とか基本の会社としてのスペックというより、性格に合うかどうかというのも業界や会社を決めるポイントになりうるように思います。
現場を乗り越えた様々なドラマは小さな実績写真に閉じ込められる
西村さん : 電気工事って、建物が出来上がった後は目に見えないじゃないですか。 でも実際に建物になった状態で「ここの電気工事俺が携わってんで」とかもっとアピールしてほしいですね。
私が電気工事士だったらめっちゃ自慢したいですけど。。。
田淵さん : 結局その職人さんが頑張って工夫して乗り越えてきた現場でのがんばりは会社のホームページの実績欄の小さい建物の写真の中に、閉じ込められてしまうんですものね。
西村さん: もっともっと建物や現場を建設会社だけのものでなくて、電気屋さん自身の作品としてアピールしたらカッコいいなって私は思います。
田淵さん : 最近名古屋にジブリのテーマパークが完成しましたね!
あれだけの大きいテーマパークも、いろんな人が携わってできている。 それを言いたいですね。
もちろんそこには電気工事屋さんの誰かが関わって、その施設が出来上がっているわけで、電気屋工事の人スゴイです。
そこ自慢したいですよね!
西村さん : といってもそれをする場面がないと思います。
田淵さん : あっても、家族にくらいですよ(笑)
娘さん1人とか、パパすごい。。とか。 まあ凄いんですけど。。。
もっと色々な人に褒められて欲しいです。
西村さん : ほんとにもっとアピールして、沢山の方から反応があるような、そんな場所必要ですね。
息子さんだけにしか伝わっていないって、ほんともったいなさすぎ
田淵さん : 確かにその言われてみれば、電気工事士の人って、お父さんの話を聞いているからか、息子さんも電気工事のお仕事する人、その会社を継ぐ人多いですよね。 私の友達とかでもあのお父さんが電気工事の仕事をしていて、その仕事のことを知っているから入ったって方がいますけど、別に無理やりとかそういうことではなくて自然とそうなっていて、「知っている、知っていない」って本当に大きなことだなと思います。 頑張って電気工事されてきたことが、息子さんにしか伝わってないのがすごいなんかね。。もったいないですね。
西村さん : 家族にだけってね。。。
電気工事の今見えていないことを「発信」みたいなものがあったら人不足少しでも改善されていくのかなぁ。
田淵さん : 電気工事の広報誌とあるじゃないですか、それってやっぱり電気工事の人だけが見てますしね。
もちろん一般の方がわざわざ手にすることはあまり無いですし、その中にいっぱい情報とか最近のトレンドとか書いてあるんですけど、 、、電気工事に関する新聞って、普段読んだことありますか(笑)
まあ、業界以外の人は手にとったこともないと思います。 やっぱり、内容という意味でも一般の人に届けないとね。
電気工事の方々にとっては、もう内容、知っているじゃないですか?
「一般の人にいかに届けるか」ってことがすごく大事かなっていう風に働いて思ってきました。
どうしたら、なりたい職業ランキングの上位になるのか?
昭和、平成、令和の3世代コミュニケーションが難しい。「技」の価値とは。。。
西村さん : ベテランの職人さんって施工の中で培った技術力、「技」があるなって思っています。
ベテラン世代の方々は、今のような道具・工具がない時代、それこそシース切って線出して、専用工具なんてなしにしていた人たちが、どうすれば、早く、正確に、効率よくこなせるのかを工夫しながら方法を編み出していた人たちがほとんどだと思います。
そういったみなさんが、今の若い世代に教える時にはもう専用工具ありきじゃないですか。
現在の工具の作業効率は良いのがわかっている上で、ベテラン世代が培ってきた「技」を求められてしまったら、若い世代はいや、そんなに言われても・・・になってしまうことが多いんじゃないかなと、そんなスキル出されへんし・・・でやめちゃうのかな。
田淵さん : いつまでも認めてもらえないとかつらいです。
西村さん : 工具や道具が便利になってきたことによって、若い人たちが
もっとスキルアップしたいっていう気持ちを失ってしまっているのかなって感じますね。 すぐ見極めてしまうといいますか。
田淵さん : その視点はなかったです。
何でもやりやすくなったからこその、追求していく面白さがちょっと減っているということですね。 ほんとに面白い視点ですね。
西村さん: そうして、ベテランの人からも評価されないようになってくるだろうし
田淵さん: でも人はいないから効率化を求めてますしね。(笑)
西村さん: そこの部分がジレンマといいますか、埋めることができない世代間のギャップなんでしょうかね。
おそらく、もうひと世代まわったら、すごく分かり合える仕事環境ができてくるのかなと思います。
実際今3世代が入り混じっている状況で、上の人の指導の下、お仕事を進めていますので、そういう埋まらないギャップみたいなものがあるのではないかと思います。
先輩の方も若い子の考えもわからないし、ただこうなってほしいだけで、押し付けてしまっている部分もあったりとかしますし、若い世代の方は上の世代の方のスキルがすごいと思ってるけど、今これがあるんやしこうやってみたいなとか。。。
そこが、お互いのことを思って言ってるんだとおもいますが、
その部分が、お互い理解し合えないとなっているんでしょうね。
田淵さん : 若い人にとっては、それ効率律悪いなって思っていても、その効率の悪さにも、先輩からしたら教えることがその中にあるっていうことですよね?
「そこまではYouTubeで予習しておいてね」と言えれば全て解決すると思います
西村さん : 電気屋さんとのコミュニケーションの中で後輩をどう指導したらいいかわからないっていう声があったり、言い過ぎてやめてしまったらとか、でも技術は求めたいというような話をよく耳にします。
商品の工事の仕方の話になると、説明書を動画で欲しい、人から言葉で言われるより、説明書を読むことより、若い世代は「見て」頭に入っていくから、そういうのもやっと欲しいっていうような声がほんとうに多いです。
田淵さん : 全然違いますね。
西村さん : 「見て覚えろの世代」は、実際に人がやってるとこを見て覚える、今は動画見る、なんだったら説明している人が本当の人でなくてもいいし、それを何回も戻して見て、それで覚えていく。。。わからなければいつでもどこでも見ることができる。
「見る」の意味が全然違います。
今の世代であれば、どうしてもそういうのを求められてるんですよ。
そうでない世代の方も理解をしたいけど、できないという思いです。
田淵さん : YouTube なんかには上がっていますもんね。
この工具を使って、どういう風に施工していくかっていう動画とか。
電気工事ではなく塗装工事のチャンネルですが、ブルーの色をムラなく綺麗に塗る方法とかっていうのを分かり易く説明しているんですね。見てると、私でも出来そうな気がしてくるんです。 でも、世の中、どんな人が見るかわからない映像には、職人さんの経験で得た「本当のこだわり」は出せないですものね。 マニュアルだと思います。
上の世代の方が「○○まではYouTubeで予習しておいてね」と若い人にコミュニケーションすることができるか、YouTube以上の経験や「技」を自分なりに言語化の努力ができているか。。そこが良いコミュニケーションのスタートだと思います。
若い人ではなくて、上の世代の方からしかコミュニケーションは生まれないと思います。
西村さんが先ほどからお話頂いてるような思いを持たれたりするということは、かなり職人さんに近い会社を訪問することが多いんですね。
「自分の人生を一番に考えたらいいよ」は社員への信頼コミュニケーション
西村さん : 私の担当している防火材は、ブランドを決定されるのが、現場で実際作業されている職人さんが決定権をもって選んで頂いていると考えていまして、電気工事会社さんの協力会社の方々にお会いしたい!ということで、安全大会や安全協議会などに同席させて頂いて、そこで商品のPRや使用方法の説明をさせて頂くことを活動の基本としていまして、今のところ西日本エリアで色々な機会を頂いています。
田淵さん : 因幡電機さん、西村さんの雰囲気からして意外でした。
すごく現場に近いところでお仕事されているんですね。
西村さん : もし、チームにもう少し人が増えれば、全国を対象に活動していきたいです。
関東エリア、北海道なんかもまだまだ市場としてはありますので、がんばっていきたいですね。
田淵さん : 営業職で考えると、女性比率はどんなかんじですか?
西村さん : 営業職となるとまだまだ少ないです。これから増やしていこうという会社としての考えはあります。 実際「因幡電機です~」といくと「どうしたの、請求書持ってきたん?」というくらいの感じなんですね。 電気工事屋さんに女性の営業マンが来ると思ってられないんですね。
田淵さん : 今の部署に異動される際って不安とかありましたか?
西村さん : 私の直属の上司が女性なんです。
半年前に営業職に異動するにあたって、結構いろんな不安があったりとか、自分の人生プランとか、したいことか色々お話させて頂いて、休日を取ったりとか、もちろんお客様にご迷惑をかけない前提ですが、そういうとき、前の業務と違ってちょっと厳しいのかなと思ったりとかしていたんですが、上司が、とにかく「自分の人生 1 番に考えたらいいよ」
って言ってくださったんでやってみようと思いました。
田淵さん : その言葉が言えるというのは、お仕事は100%全力でやってくれるという信頼のもとにしか言えないことばだと思います。そういうことが言える会社も素晴らしいし、上司の方もホント素敵ですね。
作業服がカッコよくなることが、みんなのライフスタイルを変えて行く
西村さん : 話は変わりますが、現場の方の作業着がとにかく変化してきたなぁて思いますね。
まさに平成令和の価値観といえばの話ですが、みんな細身で、とにかくデニムが流行ってますね。 すごくカッコよくなってるな~と思います。
田淵さん : ホントですね! みんなデニムです。 そしてカッコいいと私も思います。
なんかそれこそジョージアの CM みたいな感じとか、そういうのもうないですよね。
これ言っていいかわかんないですけど、電気工事の業界の人ってどちらかというとシュッとした方が多くないですか?
建設業もたくさんあると思いますが、なんか電気工事の方は、キレイしカッコいいように思います。 個人の感想です・・とつけておいて欲しいですが。
最近のトレンドはもうなんといっても「デニム」です(笑) みなさん、普通に電車乗ってます。
西村さん : 仕事の後の予定とかしやすいのかな?
田淵さん : 確かにちょっと上着替えるぐらいで行けますので。
西村さん : そういう作業服それが売ってるショップとかがとかも、そういう流れで変わってきたなと思いますね。 ワークマンプラスさんとか、作業服屋さんというより一般アパレルショップに寄っていてる感じですね。
田淵さん : そういうことが、職人さんのライフスタイルを変えるかもしれないですね。
夕方5 時から着替えに 1 回帰ったりとかしなくて済めば、時間に余裕できるし、
ちょっと飲みに行こうかっていうのが、早い時間からでも開始できて、翌日の仕事に影響しない時間に変えられるとか、平日は無理だからと土曜日に出なくてもいいし、家族との時間もできたりとか。。。
そりゃ体動かして、仕事終わってすぐ、お酒飲みたいですよね。
多分そこじゃないですか飲みたいピークは! ほとんど体動かしていない私でもお仕事終わった瞬間飲みたいです(笑)
西村さん : 今、現場に関係する電気屋さんがどんどんの服装がカッコよくなっているので、それに合わせて、私たち因幡電機の制服もスタイリッシュになっています。 細身になりました。
現場は、ほんとうにカッコよくなっていると思います。
田淵さん : それこそ足袋ってもう見ないですよね(笑)
作業服にも「ブランド」があって、どこのメーカーでも関係ないというような感じじゃなくて
このブランドはあんまり汚れない時に着るとか(笑)
「人気ブランド」「ハイブランド」が作業服の世界にも確立されているのがスゴイです。
西村さん : 電気工事屋さんから「このブランドは一番人気あるんよ」と教えて頂いたりすることがよくあります。 そういうことでも仕事との関わりを楽しめるようになっているんだなあと。
田淵さん : 確かにそういう楽しみって必要だと思います。
中には、もっと個性を出したいという人もいらっしゃるんじゃないでしょうか。
仕事の中で個性を表すのは、作業服とか、道具とか。
電気工事の方のSNSは、家族のことも色々あげていますけど、必ずどこかに「道具」は入っています(笑)そこでモチベーションが上げてるんだなとSNSを見ています。
そういう意味で、職人さんにとって、工具や道具の役割は大切なんですね。
形から入ってモチベーションを作るのは男性に多くみられるような。。(笑)
西村さん : 私趣味でゴルフするんですけど、下手でもかわいいウエアとか新しいアイアン買って、「それを使っている自分」を思うだけで続けて頑張ろうと思えるんですね。
電気工事屋さんにもそういう感じがあるのかな。
田淵さん : しかし男性の方が女性より、形から入ってモチベーションを上げていく人多いように思いません? これに関しては、世代問わずあるあるですね(笑)
西村さん : 確かに(笑)
若い世代の中に、「このブランドを身に着けたいな」というのが出てきてるのは素晴らしいことだし。 服や靴、道具、お仕事で身に着けるものの選択肢が多様になっているのは、モチベーションあげる材料が増えていることだし、業界のためにすごくいいことだと思います。
昭和の職人さんのお話を聞いていると、そういう選択肢がない、さらにそれに我慢することが良いことのような風潮もあったとおっしゃる方もいっらっしゃいました。
田淵さん : なるほど~
電気工事の仕事ってハードすぎません?
西村さん : お仕事って、お給料もらって生活するためじゃないですよね。 ただ、自分の技術をアピールするだけではなくて、お仕事してお給料もらって生活して豊かにするためのものだと思うんです。
結構現場って厳しい。
その天候も色々な場面はあるす、体力もすごく使ったりとか。
朝早く入られて雨の日はおやすみなったりとかもあるけど、週休2 日の会社に比べたらお給料はそこまでいかないかなっていうのが印象です。
色々手当なんかもあるとは思いますが、
求人サイトの参考資料を見ていると平均 420万円となっていました。
普通に生活はできるとは思うんですけど、これだけハードな仕事量でこれかっていうのをすごく感じましたね。
田淵さん : 最近のデジタル化やその他の変化の中で、新しい職種がいっぱい増えて、多くの選択肢がある中で、電気工事を選ぶ理由がどこにあるのかということですね。
西村さん : 私が見ていて、確かに収入環境は、仕事量や責任、スキルから考えてもう少しなんとかなっても良いと思いますが、現時点でこのことと引き換えられる魅力は、仕事したものが、「建物」という街をつくる「景色」の一つとして「形に残る」というのは、
私からすると一番の魅力ではないかと思ってしまいます。
こういった部分の発信なしには、まず振り向いてもらえないんじゃないかなと思いました。
田淵さん : その魅力すら届いていない上に、実際お仕事としてどうんな風に動いているのかは、建物の中であったりもしますが、なかなか普段普通に生活していれば見ることがないとなると、まず職業を選ぶ選択肢にも入って来ないと思います。
確かにやっぱよっぽどしたいことじゃない限り、お給料とかっていうのは絶対に見ますし、自分の今の生活水準とかね。 あったりとか兼ね合いがあったりとか。でも、スキルはすごい求められるので、資格も取りに行かないといけないしとか。。
「技術」を大切にする国なのに、「技術者」を大切にしないように思います。
それこそ言っても仕方ないことかもしれないんですけど、日本の方って結構「技術とか経験」に対して割引してもらおうとする傾向ありますよね。
ものづくりの国、技術の国なのに。。。
音楽や絵のような芸術、アートに対してでもそういう傾向があると思います。
作業される方に対しても、もうちょっと安くならへんのっていうようなことを簡単に言ってしまう方って、割合としてはまだまだいるように思います。
西村さん : それ、関西人だからということではないですよね(笑)
田淵さん : えっ、スミマセン、日本を代表していってしまいました!(笑)
やはり、「技」を大切にしている国なはずなのに、そこにリスペクトが少ないし、じゃあ自分でやってみたらといっても、出来ることではないのにも関わらず、値引きを要求する。。。
じゃあこれだけで、この値段になりません?というのはちょっと失礼なように思います。
過去には自分自身にもそういう傾向あったなと、すごく反省します。
もちろん皆さんも、自分の利益も残しつつ進めなきゃいけないんでそこの兼ね合いが難しいとろではありますが。。。
施工管理の方もそこの調和を取るのに苦しんでるっていうように思います。
電気工事のみなさんもっと褒められてほしいです。
西村さん : やはり、電気工事の職人さんって、褒められる機会っていうのは本当に少ないと思う。
その少なさは、どういうところを頑張っているのかが見えていないので、褒める方も、どう褒めたらいいかわからない部分もあると思います。
やっとYouTubeとか発信する場が増えてきましたけど、例えば、ショッピングモールが出来上がった時に「こんな人たちがこの建物を作りました!」とモール内で映像発信したり、この学校この人たちが作ったんですよ。。だとか。 とにかく職人さんの頑張っていることを、設備を使っている人に届けたいですね。
田淵さん : キッザニアのような形で子供たちへの職業体験の機会などもこれから本当に重要な気がします。 業界団体でも色々と展開されていると思いますが、もっとこれから大切になるように思います。 お仕事はみんなそうだと思いますが、「やってみないとわからないこと」だらけなので、それは各会社でも、団体でもそういう世代にも積極的、戦略的に届けていくことが大切だと思います。
西村さん : 子供たちへ向けて、こんな仕事もあるんだよと、「教育」の段階で伝えることというのは本当に大切だと思います。
そいうことで、カッコいいな、それやってみたいなが、いつの間にか増えていくと思います。
私たち因幡電機のような、電気工事会社や電気工事士の皆さんのいつもそばにいる存在として、商品を供給することだけでなくて、世の中にあるつながりたいものと繋がっていくお手伝いをすることが求められているように思います。
田淵さん : 私たちAmpとしてもまさにそこが役割で、業界のみなさんと世の中を接続するのが使命だと思っています。 是非今後とも協力して電気工事業界の魅力をいっしょに発信していきたいです。
西村さん本日は神戸までお越し頂いてありがとうございました
商品のお問い合わせ先:
因幡電機産業株式会社
システム第2統括部
営業開発部 防災製品グループ
〒540-0012 大阪府大阪市中央区谷町4-11-6 4階
TEL:06-7711-4770 FAX: 06-7711-4775
受付サイト:https://www.inaba.co.jp/jappy/firepro/
受付アドレス:fbousai@gr-inaba.com
この対談は、1時間以上に及びました。文字数も通常よりかなり多くなってしまいました。
これだけの時間電気工事業界についてお話がつきないことだけで私としては大変感動しまして、自社製品のマーケットと言ってしまえばそこまでだけど、メーカーの営業スタッフの方がここまで、しっかり電気工事業界のことを見つめておられるなんて、さすが、因幡電機産業さんだなと思いました。 同時に私たち電気工事を生業としているものとしては、こうした周りでサポートしてくださっている皆さんと目線を同じにして、共に電気工事業界を良くしていくことが、改めて「鍵」だと感じました。ご協力頂きありがとうございました。
インタビュー記事も公開していますので是非ご覧ください。
インタビュー記事:https://amp-el.jp/column/2019/