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現役80歳技術者から私たちへの伝言

みなさんこんにちは、Ampを主宰する藤田勝彦です。

すばらしい電気工事業界の魅力を世の中につたえるのが仕事です。 兵庫県で電気工事会社を経営しています。

コロナウイルス流行もなんとか落ち着いて少しずつ街の雰囲気がもとに戻ろうとしていますね。 まだまだ気を抜けないところですが、来週あたりはコロナ前までお世話になっていたお店に寄ってみようと思います。

Amp設立社員 川副耕司さん(80)にお越し頂きました。

今回はAmpの運営法人の設立を共にしていただいた現在80歳の九州佐賀にある設備工事会社(株)アフターコウジ 代表取締役会長 川副耕司さんとの対談です。 Ampを設立するキッカケとなった方でありますし、私にとっては仕事のパートナーとして10年近く、年の差30歳の飲み友達としても10年、会うたびに刺激をくれる方です。 

会長はコロナが始まってから家にいることも多く少し筋力が落ちたと聞いておりました。 Amp設立の時にこの対談を必ず実現しようと考えておりましたが、コロナの間、感染者数が増加中に兵庫県にお越し頂いて何かあってはと、結局今日になってしまいました。 川副会長の年齢や状況を考えてこれ以上先延ばしはできないと思い、緊急事態宣言の解除に合わせてすぐお越し頂くこととなりました。 私の中では「最後の神戸行きになるかも」という思いで、入魂して対談しますと約束しました。

川副会長の会社WEBサイトです。

株式会社 アフターコウジ – デマンドコントロール、太陽光システム、LED照明、空調メンテナンスは佐賀県佐賀市のアフターコウジにお任せください。 (afterkouji.com)

フジタ : 会長は今の会社を起業するまで何をされてたんですか?

カワゾエ: 私は、佐賀県で工業高校を卒業後、大阪のグリコ食品に入って、工場機械のメンテナンスの仕事をしていました。

フジタ : グリコってあのポッキーのグリコ?これだけ付き合い長いのに初めて聞きました!

カワゾエ: 入社2年目で5000人の社員の前で2人しかもらえない社長表彰もらったのよ。2年目ながらメンテナンス業務の改善を提案したりして社内からも注目あびてねえ。

日本にはハンディキャップというパワーがあった

カワゾエ: その社長表彰を機にグリコの本丸である研究開発部門へ転籍させて欲しいと上司に直訴しました。 それが認められず、ほんとうに悔しい気持ちで結局4年目かなグリコさんを去ることにしました。

フジタ : 研究開発って!? 20歳とかですよね。 もうその時から会長は「世の中を変えるような何かをしたい!」という強い思いがあったんですね。

カワゾエ: そこからは、色々な機械のメンテナンスの仕事を自分で請負ったりして、生き抜くために何でもやっていました。 そのころ自信を持って戦っていましたが、まだまだ自分の実力もそこまでなかったので、実際はなかなか苦労してたなあ。

フジタ : 佐賀から大阪へ出てこられて、周りに助けてくれる人もいない中で、「生き抜く」ことが大変だったのに、会社という後ろ盾もなく世の中に泳ぎでられるってすごいことですね。 本当に尊敬します。

カワゾエ: あの頃は、みんなが「何かできる」と考えていたし、経済的にも焼け野原になった日本で、方向を間違っていても頑張ればなんとかなるというある意味安心もあったと思います。 日本が国として背負ったハンディキャップは、私たちのような個々にはパワーをくれていました。 だから出来たんだと思います。

「仕事は常にケンカ腰やないといかんです」

カワゾエ: 私流の言葉で表現すると、仕事は常にケンカ腰で勝負と決めています。 ほんとうにケンカするんではなくて、ケンカ腰ほど真剣に取り組むべきという意味です。

私は佐賀に戻って現パナソニック、当時三洋電機ブランドの空調機メーカーオフィシャルメンテナンス会社として新たにスタートしました。ちょうど、三洋電機が佐賀を含む九州北エリアでメンテナンスをできる人を探していると大阪時代の知人から情報をもらって、今までの経験を生かした事業で今のアフターコウジの基礎を作ることになります。

フジタ  :   最初はお一人でスタートされたんですか?

カワゾエ :  とにかく、ある程度そのとき満足のいく年収を確保できるように最初から設定して、契約や仕事量を交渉して、頑張っていける形にして、一人でスタートしました。

せっかくいただいたチャンスを活かしたい思いでメンテナンスを通じてお客様のビジネスの継続を止めない!ということを胸に「呼ばれたらどんなことしても必ず行く」と決めていました。

空調設備なので、冷凍機から室内空調まで、24時間365日メンテナンス出動依頼はあります。 そして私はその全てに対応し、「困ったときの川副さん」と呼ばれるようになりました。 自分で言うのもなんですが、その対応で九州地域でもその世界では有名だったと思います。 メーカーからも絶大な信頼を得ていました。

フジタ :  とは言え、夜中飲みに行ってるときはさすがに対応できなかったんじゃないですか?

夜中酒飲んでても必ず行く!

カワゾエ: 夜中に大手のスーパーマーケットから連絡ありますよね。 私が佐賀の街で飲んでる最中に。 お客様には、「私は今お酒を飲んでおりますが、その状態でも良ければ行きますがいいですか?」と聞きます。 当然相手は冷凍機に関係する500万円分の商品がダメになること思ったら、それでもいいので来て欲しいと言うわけです。

私は、店の中で「だれか2万円あげるから運転手できる人おらんかー」と。。まあ当時2万円あげると言えば喜んでやってくれました(笑)

それで現場に行って、応急処置など対応したり、時には修理をしてしまうこともありました。 今じゃこんなことできませんが。。

私の言う「仕事は常にケンカ腰」はそういう姿勢のことです。

フジタ : そうやって川副会長のブランドを高めていかれたんですね。

必ず先に依頼者の話を3分聞きます。

カワゾエ: 私はメンテ出動依頼は「すぐ行きます」とは言いません。

必ず先に依頼者の話を3分間聞いてから答えるようにしています。 なぜなら、「どれだけ困ってるか」を言わせることで、緊急対応の値打ちをあげるためです。これだけで3万円が6万円になります。 そういう勝負をしていました。 技術を安く買いたたかれないようにという思いでそうしていました。

フジタ : 言えばお客様の方が価値を上げてくれる感じですね(笑) 相手も困ってるわりにはコストを下げること考えているわけで、確かに勝負ですね。

カワゾエ: そのかわり、こちらもお客様の営業にできるだけ支障がでないように、最高、最善の対応して、さらにお客様満足に勝負するわけです。

フジタ : どこまで行ってもケンカ腰ですね。 「勝負」言うてもうてますし(笑)。 最初の3分間がお客様と川副会長の「契約」のように思います。 このお客様と今回どんな契約を締結するのか。。。それを決める3分なんですね。

カワゾエ: 常に「勝負」です。

フジタ : そういう勝負は、もちろん窓口である三洋電機のブランドを高めることにもつながっているわけですが、人対人の勝負に持ち込むあたりは、川副会長らしいなと思います。

 

部品を拭いてお金にしていた時代

カワゾエ: 私がまだまだ技術者として未熟であった時代は、「部品を拭いて」お金にしていました。 大したお金にならないわけですが、それが私が世の中に提供できる全てでした。 それから色々な経験をして、「技術」をちゃんとお金に換えることができるようになって今思うことは、国の状況などで、自分の経験や知識を部品を拭くことしかお金をつくる術がない環境下にいる人たちに役立てたいということです。

フジタ : Amp設立のもっと前から飲んだ時はよくその話私にしてくださいました。 いつも社団法人設立に至るストーリーの中にそのお話を入れています。 川副会長のその思いも、私がAmpを立ち上げした理由、目的の一つです。 一度私に電話で涙ながらにその話をしてくださった時、本当に様々なご苦労と、川副会長がその時できる目一杯の勝負をしてきたんだなと感じとりました。 そのとき私は、川副会長のような「思い」を世の中に埋没させていてはいけないと、 Ampを通じて業界の中にある様々な経験や考え、知を次の世代に向けて発信する役割が自分にあると。。。強く思いました。

とにかくグローバルに考えなきゃいかんよ

カワゾエ: 戦後日本は焼け野原になって、そこからの復興という、ハンディキャップがあったから力強く成長することができた。今の日本はそういう状態にないので、あのころのような成長の仕方はしない。 成長によって得た様々なものをこれから成長する国やその国の人たちに提供し、力強い成長を助けてあげないといけない。 そうすることで、また日本が成長できるはず。

私は空調メンテナンスについては様々な経験があって、対処できないことはないと思っています。 今は体が昔のように動きませんが経験や知識はしっかりあります、アジアでもいい、アフリカでもいい、とにかく技術をお金にできない環境にある人たちを、インターネットを使って、日本から遠隔でサポートするようなサービスができればとずっと思ってきました。

フジタ  :      この話をお聞きしていた7年前から、テクノロジーは進化して、やっと通信速度やカメラ、画像認識といった様々な技術が整ってきました。 やはりこういう事業をやるなら品質よくできなきゃ意味ないし、やっとそういう環境はほぼ整ったと思います。

カワゾエ: 今日Ampのイベントで見る「AR?」もそういった技術の一つなんでしょ。

フジタ : そうです。 このARについても、川副会長の思いを具体化するために色々動いてきたことの一つです。 ですから大きなイベントではないですが、無理しても是非会長に来て頂きたかったんです。

カワゾエ: ありがとう、まず一歩ですね。

藤田さん含め若い人たちには、全ての行動は世界に向けて動いて欲しいです。 グローバルでないといかんです。

佐賀の田舎にいようが、神戸にいようが、とにかくグローバルです。 それしか日本は成長せんです。

私はあと2年いけますかねぇ。。。。

フジタ : 会長!何を言うてるんですか! まだまだ色々道半ばです。 しばらく付き合ってもらいますよ。

私たちの業界は年上の人がエライんじゃなくて、80歳からでも新しい何かを残せる素晴らしい業界なんです。

ー 最後までお読み頂きありがとうございました。